4. 成果の出ない取組について

成果が乏しいまたは危険な取組について

スマートマネジメントの考え方からやってはいけない取組を紹介するとスマートマネジメントが良く理解していただけるのでいくつかご紹介します。
 最初は「がんばるタイム」です。最近ではトリンプさんの取組が有名です。また昨年2月のハーバードビジネスレビューにもこの「がんばるタイム」的なアメリカ版が紹介されていました。
本論でがんばるタイムを否定する一番の理由は、それが自律的な取組でなく強制的な取組であるからです。上司の仕事の指示は「はじめ」ではなく「おわり」を伝えるべきなのですが、このがんばるタイムは1時から3時まで私語禁止、社内電話禁止で「自分ひとりの仕事」をするという取組です。自分ひとりの仕事の時間を確保するのはよいのですが、強制的ではモチベーションの低下を招くだけでなく、自律的に処理する能力がなくなることになります(ただし「しつけ」としての取組なら理解できます)。
一方ハーバードビジネスレビューに紹介されていた事例はがんばるタイムに似ていますが、実は否なるものだと思いました。取組は、毎週火曜日の午前中電話回線をオフにしてボイスメール(留守電)をオン、webアクセス環境をオフにしてメール、とくにチャットをできない環境を経営者側が作るだけです。そこで何をするかは社員に任せる(自律的要素)ことになっていますが、その環境では自分ひとりの仕事をすることになります。自律性が担保されているか否かで似て非なるものだということです。ここが大事なポイントです。
 前述しましたが水曜ノー残業デーもアウトな取組です。理由はすでに述べました。
フレックスタイムは自律的なようでよさそうに思いますが、実は他律的な要素が弱くなると組織、チームとしての体をなくすとっても危険な取組です。事実フレックス導入企業で前述の診断を実施すると大概の場合「コミュニケーション」に大きな課題がある結果になっています。
 コミュニケーションといえば情報の共有化の取組も考えものです。投下時間のマネジメント、動機把握のマネジメント、優先順位のマネジメントのルールがない組織でいかに情報の共有化を図ろうというのでしょうか?スマートマネジメントはスポーツでいえば基礎体力のようなものです。情報の共有化は基礎体力ではありません。野球でいえば150キロの速球を投げるようなものです。いまの生産性向上の取組はほとんどが基礎体力なしで150キロの直球を投げ込もうとしているようにしか思えません。ですから失敗します。具体的には、投下時間でいえば、仕事のはじめ方の技術や終わらせ方の技術を共有せずして情報の共有化はあり得ません。ただ、その状態でもそれなりに情報を共有化する術はあります。情報の共有化は他律的な概念(他人がいないと成り立たない概念)です。ではこれに対する自律的な概念を考えてみましょう。それは情報の公平化ということになります。前者が情報のあり方をとらえる考え方に対し、後者は情報を扱う時の一人一人の心構えといってもよいと思います。情報の公平化とは「同一情報と同時に全員に配信する」発信者の心構えです。組織では長のつく人(社長、部長、課長など)はぜひとも身に付けてもらいたい技術です。長が情報の公平化を実践しているチームは少なくともそうでないチームより格段に情報の共有化が進んでいます。

スマートマネジメントは「仕事のしくみ」から導かれた「誰にでも」「どんな仕事にも」あてはまる仕事のさばき方の原理・原則としての日本タイムマネジメント普及協会が提唱するタイムマネジメントの発展形として日本タイムマネジメント普及協会に参画しているコンサルタントによって再構築された情報化時代に合った新しいマネジメントの考え方と具体策の体系です。